前回の続きです。
HDD上の各ファイルについて、もう少し概要を掘り下げます。
前回の記事はこちら。
プラグイン
拡張子.esm、.esp、eslのファイルです。主にゲームのコアであるFallout4.esmに対してのパッチになります。このパッチでゲームを色々改変する訳ですね。プラグイン自体は設定項目の集合体であり、この中にポリゴンやテクスチャ等のデータが入ってる訳ではありません。
例えば近接武器「Sledgehammer」の攻撃力や重量、価格といった情報とか、みんなのタンパク源である「Radroach」が取得してるPerk、死んだ際に落とすアイテムの設定だったり。アイテムやNPC、建物の位置や天候だったりと、あらゆる設定項目をまとめた「台帳」です。ちょっと中二病っぽく言えば『アカシックレコード』といった所ですかね!
※正確には「プラグイン」と呼称できるのはespだけなのですが、Fallout4.esmに対する変更パッチであるという点では同じです。
サンプルMOD作成
話の例として、ごくシンプルなMODを作ります。『Sledgehammer』の攻撃力と価格を上げて、重量を下げるだけ。Fallout4.esmという「台帳」を、espで少々上書きします。これだけでSledgehammerを強化するMODの完成です。
SSはFO4EditによるSledgehammerの様子。左窓で選んだSledgehammerのパラメータが右窓に表示されてます。右窓では、縦の列[00]Fallout4.esmの値を、その右にある[01]CheatHammer.espで上書きしています。
変更した値は、Weight、Value、Damageと、読んだままの意味。 このように、esmに対してespでパッチを当てることでMODが成立しています。
とりあえずは、
MODのespでオリジナルの数値を上書き変更してんだね!
位の認識で十分です。
左がバニラ、右がMOD適用後。敵もこのSledgehammerを使うのでえらいことになりますが!(笑)
金槌のグラフィックそのものは、プラグインには入ってません。バニラ(MODを入れてない状態)ではアーカイブファイル内(.ba2のファイル)に入ってます。
以下、各ファイルの個別説明をしていきます。
esp(プラグイン)
Fallout4.esmを含めた、esmを改変するパッチです。前述の「Sledgehammerの攻撃力を高くするMOD」のような小規模な改変から、新エリアを追加するような大規模な物まで、色々作成可能です。
esm(マスターファイル)
基本構造はespと大差ありません。esp同様に、Fallout4.esmに対してはパッチになります(これは公式DLCのesmでも同じ)。
ただしesmは、esp視点から見るとマスターファイルになります。つまりFallout4.esmと同じように、espはesmに対してパッチを当てて改変することができます。
※意味わからなかったら飛ばしてOKです。
espは、esmに『パッチを当てる』だけでなく、esmの値を『参照利用』することもあります。
例えばガービーの初期状態をメカニストスーツにしたければ、DLCRobot.esmからメカニストスーツを『参照利用』して、Fallout4.esmへの上書きパッチを作ります。パッチを当てる先はFallout4.esmのみで、DLCRobot.esmに対しては何も変更しません。
esl(ライトマスターファイル)
バージョンアップで追加された新興ファイル。パッチという観点ではesmやespと同じですが、作成や使用に制限事項が多いです。その代わり、うまく使えば大量のMOD(最大4096個)を同時利用でき、非常に便利です。
必須性は低いので、最初のうちは忘れてもらっても構いません。
使い方、作り方の詳細はSkyrimブログの方に書いてますが、基本事項を覚えてから読んだ方がよいかもです。
前提として必須なプラグイン
Fallout4.esm以外はパッチに過ぎないので、単独で動くことができません。必ずパッチの対象、つまりマスター指定されたesm(時にesp)が、前提として必要です。
NMMでも確認できます。
Armorsmith ExtendedのDLC対応パッチ。上書きパッチの対象だったり、必要な値を参照したりで、赤枠内の前提プラグイン(Masters)を使ってます。足りないと確定CTD(ゲームが)しますので要注意!
アーカイブファイルとルーズファイル
メッシュファイルやテクスチャ、スクリプトに効果音や声等、ゲーム内で使われる各種ファイル群(asset アセット)です。1個(もしくは数個)にまとめて圧縮されてるか、個別のファイルを直接HDDに書き込んでいるかで2種類あります。
アーカイブファイル
.ba2形式にまとめられてるファイルです。CK付属のArchive2.exeで展開できます。
メリット
ファイルサイズの節約
圧縮率は大体50~60%位、アニメーションファイルは40%あたりまで減らせるようです。
プラグインのアクティブ状態と連動
プラグインのアクティブを切ればアーカイブファイルもロードされない為、ゴミファイルが残りません。アンインストールも確実です。
デメリット
読み込む為にはプラグインが必要
ファイルを差し替えるだけでもプラグインが必要になる為、有限であるプラグインの枠を必ず消費します。
競合に関するメリットとデメリットも非常に重要ですが、ここでは基本構造のみに限定します。
ルーズファイル
圧縮せずにHDD上に展開されてるファイルです。
メリット
プラグインが無くても使用可能
リテクスチャ等のファイル差換えのみで済むMODの場合、プラグインが無くてもロードされます。
前回のPower ArmorのリテクスチャMODで、espが無かった理由がこれになります。ルーズファイルでテクスチャを差換えてます。
デメリット
ファイルサイズが大きくなる
圧縮しない為、当然ながらサイズが増えます。
プラグインのアクティブ状態に関係無くファイルが残る
「プラグインが無くても使用可能」なことが仇になることもあります。アンインストールミス等でルーズファイルに「ゴミ」が残った場合、プラグインの状態に関係無く有効化します。
まとめ
- MODはマスターファイルにパッチを当てることで作られる。
- esm、espプラグインでFallout4.esmの「設定」を追加変更する。
- espはesmに対するパッチ。
- esmはFallout4.esmに対してはパッチ、espに対してはマスターファイル。
- ゲーム内で使われるデータは、ルーズファイルとしてHDD上に置かれるか、もしくはアーカイブファイルとしてまとめて圧縮される。
- アーカイブファイルとルーズファイルにはそれぞれ一長一短がある。
いまいちピンと来ない感じでしたら、こちらもどうぞ。Skyrimですが図解メイン。
続きはこちら