FO4Editの最低限覚えておきたい使い方を、簡単な改造を通して解説します。全く触ったこと無い人も対象にしているので、手順は1stepづつ載せています。
「意味解らないけどなんとなく作業できるようになった」という状況は好ましくないので、構造の意味を踏まえつつ進めます。
見た目がシンプルなので使いにくい印象を持ってる人が多そうですが、慣れればCKより使いやすいシーンは多いと思います(作業内容にもよりますし、セルやスクリプト関連はCKでないと無理なので一概には言えないですが)。
FO4Editの起動
まずは読込み対象を選択します。今回は練習なので、Fallout4.esmのみを選びます。
読込みが始まります。”finished”が表示されるまで待ちます。
数が増えると結構時間かかりますが、待っててあげてください。
必要な前提ファイル(マスター指定対象)がある場合は、自動でロードしてくれます。
例えばArmorsmith Extendedとか。AWKCRやDLC等の前提条件がありますが、SSのようにArmorsmith Extendedだけを選択すれば・・・
必要な前提ファイルは勝手に読んでくれます。
重要なことですが、必要な物以外は選択しないでください。「前提ファイルは自分で選択」を推奨している記事も見かけますが、余計なレコードがあると見辛かったり作業ミスにも繋がります。特にクリーニングでは致命的な問題を引き起こす場合(余計なレコードと重複判定され、必要なレコードが削除される可能性)がある為、絶対にやめてください。
FO4Editの画面の見方
読込みが終わったところで、画面をみていきます。左右にそれぞれ窓があります。
ツリー画面
左側にあるFallout4.esmのツリーを展開すると、下にたくさんの項目が出てきます。更に階層を降りると、IDが割り振られたオブジェクトが入ってます。
今回はこの中のひとつ、主に防具のオブジェクトが入っている”Armor”を見ていきます。
おなじみのVaultスーツも、この中に入っていますね。
IDとName
一番上にタブがあり、左から順に、”FormID”、”EditorID”、”Name”になります。
FormID
オブジェクトごとにユニーク(重複無し)に割り振られた番号で、上位2桁はロードオーダーと一致します。
つまりFallout4.esmの中身は、全て”00xxxxxx”になります。
EditorID
番号だけのFormIDに対して、命名規則に則ってユニークに付けられたタグです。例えばコンバットアーマーなら”Armor_Combat_xxx”、レザーアーマーなら"Armor_Leather_xxx”のように、EditorIDからオブジェクトを特定できます。
EditorIDでソートした場合は、同じ種類のオブジェクト同士で整列します。
Name
主にゲーム内で表示される名前です。同じ物が重複してもOKですし、無くても構いません。
名前の判明してる装備等、目視で探す際にも便利です。
View画面
次は右側の窓です。タブで他にも切り替わるのですが、今回はこれだけで。選択したオブジェクトのレコードが表示されます。
左のツリーからコンバットアーマー(胴)を選択すると、右窓にはオブジェクトを構成する様々なレコードが表示されます。
このレコードを書き換えれば、例えばコンバットアーマー超絶強化MODが作れます。
FO4Editによるオブジェクトの上書き編集
このコンバットアーマー(胴)のレコードを書換えて、超絶強化してみます。直接Fallout4.esmを書き換えることは出来ないので、レコードを変更する上書きパッチを作ります。
互換パッチ作成等に不可欠な、FO4Editの必須スキルです!
いよいよ作業をはじめます。
叩き台にするespを作成
変更したいオブジェクトを選んで、”Copy as override into”を選択します。読んで字のごとく、「上書き」します。今回はコンバットアーマー(0011D3C3
)を選択。
警告が出ます。自己責任なので、OKだったら進んでください。
Fallout4.esmしか無いので、新しいespを作成します。
CombatCheatArmor.espと名づけることにしました。入力は、”without extension(拡張子無し)”に注意。
Fallout4.esmを書き換える上書きパッチなので、Fallout4.esmをマスター指定します。
上書きパッチ”CombatCheatArmor.esp”が、ロードオーダー[01]として作られました。Fallout4.esmの右側に置かれています。それと大事なことですが、上書きなのでFormIDは変わりません。
とはいえ、左のツリーのオブジェクトも、右のレコード画面も、共に緑になっています。まだコピーしただけなので、完全にマスターファイルと同一(Identical To Master edit)です。
ロードオーダーの見方
右側の窓において、一番右に表示されるプラグインのレコードのみがゲームに反映されます。それ以外は幾つあろうとも、全て上書きされて潰れます。
今回はコンバットアーマー(Form ID:0011D3C3
)のレコードを上書きしているので、Fallout4.esm内の0011D3C3
のレコードは、全てCombatCheatArmor.espにより潰されます。
もしもCombatCheatArmor.espのレコードに「空欄」があった場合、そのレコードは削除扱いとなります。ロードオーダー下位から引き上げられることはありません。
この概念さえ押さえておけば、自分で色々試せると思います。
プラグインのレコードを変更
いよいよCombatCheatArmor.espのレコードを書換えます。
ぶっちゃけ、何やってもesp消してセーブデータ戻せば元に戻ります。色々はっちゃけても(死語)大丈夫です。
赤枠の所を変更してます。選択して”Edit”すれば書き込めます。重量1で、実弾とエネルギー系それぞれ防御力1000にしました。酷いチート仕様です。
Fallout4.esm(マスター)との差分ができたので、背景が黄色になりました。
オブジェクトの背景も同様に、黄色になってます。
プラグインのレコードをコピー
他のesmやespから、レコードをドラッグして持ってくることもできます。個別の値や、項目の先頭からまとめてコピーすることもできます。
書き換わりました。
数値や文字列なら問題無いですが、オブジェクトを直接指定している項目(例えばKeywordとか)の場合は、ロードオーダー上位からコピーする場合にマスター指定が必要になったり、ロードオーダー下位からのコピーはできない場合があります。
プラグインのレコードの追加と削除
ここまで来たら、対放射線とかも1000にしたいですよね。でもコンバットアーマーには元々放射線防御の項目がありません。追加します。
実弾系(Armor Rating)以外は、Resistancesで設定されます。既にエネルギー系(dtEnergy)は設定されているので、ここに追加します。”Add”します。
Addして、新しいカラッポのレコードができました。Fallout4.esmには無いので、赤枠左は空欄になってます。
こういった変更も、一種の「競合」になります。Fallout4.esmに対する上書き競合。ただし意図的に上書き変更しているので、これは「問題の無い競合」です。
中身を設定します。直接FormIDやEditorIDを入れてもいいのですが、面倒なのでクリックしプルダウンを出した方が便利です。
放射線防御の予定でしたが、せっかくだから氷防御をつけてみました。
数が増えて見辛くなったら、”Hide no conflict rows”をチェックすると、競合の無い項目をマスクしてくれます。
削除したい場合は、Resintancesの中の、個別のResistanceから”Remove”すればOKです。大項目から消すと、エネルギー防御も消えてしまいます。
なんか色々付けました。
完成したプラグインをゲームで確認
チート仕様のコンバットアーマーの完成です、ヤッター!
ここで残念なお知らせが2つ。
残念その1
バニラのコンバットアーマーを上書きしたので、敵もこのコンバットアーマーを使います。というか、Commonwealth全土のコンバットアーマーが、このチート仕様になります。
相対的に敵の超絶強化になってしまいますね!
・・・すいませんこのあと対策します。
残念その2
詳細書くと長くなるので割愛しますが、バニラでは氷や火等のDamageTypeが使われていません。例えばCryolatorやFlamerが属性付いてるようなビジュアルしてますが、データ上はエネルギー系ダメージです。
ちなみに防具やmobもこれらの防御力を持ち合わせておらず、dtCryoの銃とか作ってみると、恐ろしい程ダメージ通りますw
Damage Type Variationを使うと、武器やクラフトにこれらの属性がつくようです(esp見ただけで、実際に使ってないです)。
FO4Editによるオブジェクトの複製編集
チートアーマーを敵に持たせたくないので、プレイヤ以外には入手の手段が無いように変更します。
元々存在しているコンバットアーマーを書換えたことが諸悪の根源なので、新しいFormIDのコンバットアーマーを新設します。これなら巷に存在しているコンバットアーマーを変更せず、自分だけ強力なバージョンを使うことができます!
叩き台のオブジェクトを複製
今度も0011D3C3
のコンバットアーマーから作ります。”Copy as new record into”を使います。これはさっきのような上書きパッチではなく、新規オブジェクトとして複製します。コピーした方をチート改造すれば、元のコンバットアーマーはそのまま変わりません。
書き込み先の指定は、今度はCombatCheatArmor.espにします。新たに作りたい場合は、new fileを選べばOKです。
複製なので、このままだとEditorIDがかぶってしまいます。新しい名前をつけます。
新規作成しました。01000800
に、新しいコンバットアーマーの誕生です。
ここでFormIDの上位2桁に注目です。このコンバットアーマーはバニラには無い新規オブジェクトです。よって、FormIDの上位2桁がロードオーダーと同じになっています。別に01固定ではなく、他のMODを読込んでロードオーダーが変わった際は、自動的に振りなおされます。
Fallout4.esmのツリーから”Copy as new record into”すると、バニラのレコードで新規オブジェクトが複製されます。
CheatCombatArmor.esmのツリーから”Copy as new record into”した場合は、チート改造済レコードのオブジェクトが複製されます。
欲しいレコード次第で何処からコピーするかを考えておくと、作業が楽になります。
新設したオブジェクトのレコード変更
上書きの時と手順は同じなので、詳細は省略します。選択して書換えたり、追加したりするだけです。
この01000800
のオブジェクトは、マスターファイル(Fallout4.esm)には無いCombatCheatArmor.espのオリジナルです。よってロードオーダー[00]に「上書き」となるレコードは存在しません。よって背景は「白」になってます。
このコンバットアーマーは、Leveled List(Leveled Item)や、ユニークNPCのDefault Outfitといったオブジェクトに一切リンクしてません(今作った訳ですしね)。よってNPCには入手経路がありません。
不要なオブジェクトを削除
上書きした方のコンバットアーマーは危ないので、オブジェクトごと消しちゃいます。Fallout4.esmからコンバットアーマーが消えたりしないので大丈夫です。
削除しました。これでこのespの中は、新設オブジェクト1個だけになりました。マスターを上書きするレコードが無い為、競合要因の無いespになりました。ロードオーダーのどこに置いても一緒です。
「上書きパッチ」としてのオブジェクトが消えたので、オリジナルのコンバットアーマーはバニラに戻ります。背景まっしろです。
プラグインをゲーム内で再度確認
ロードオーダー最上位に置いて、ゲームを起動しました(競合要素が無いので、どこでもOK)。コンソールでコンバットアーマーを調べると、最後に1個でてきましたね。これをadditem
で入手すればOKです。
SSの例だと、
player.additem 57000800 1
(1は省略可)
Armor Addonは変更していないので、リモデルやリテクスチャ系のMODの効果は適用されます(グラフィック的にはスタンドアロンになっていない)。
2種類できました。これで安心!
以上で終了です。
とりあえず互換パッチ作る等の基本的な操作は、これだけ知ってれば困らないと思います。
続編有り。今回のチートアーマーにArmor and Weapon Keywords Community Resource (AWKCR)対応のクラフトレシピを作りながら、マスター指定について解説します。