Armorsmith Extendedと、Better Item Sorting(英語版)の互換パッチを作ります。英語圏ではもうValdacil's Item Sortingの方がメイン路線な感じですが、日本語版は更新が続いているようなので、こちらを題材にします。
「何も知らなくても、これ見てマネするだけでAEとBISのパッチ作れる」的な内容ではなく、"互換パッチ"というものを作成する為の基本手順的な内容になっています。なので競合チェックを始める所から入ります。
作業量が多いですが、内容は極めて単純なパッチなので、初めて作るにも良い題材だと思います(記事では1オブジェクトのみの作業です)。
互換パッチの意味がわからない人は、こちらからどうぞ。適当な作業するとセーブデータを再起不能にするかもしれません。
FO4Editの使い方は知っている前提で進めます。
勿論、作成は自己責任でお願いします。最悪セーブデータを再起不能にする可能性もありますので。
Better Item Sorting(esp版)との競合状態
最初に競合状態を確認します。
AEの後にBISをロードしました。AEの変更項目がほぼ全てBISに上書きされています。つまりバニラに戻ってます。競合状態を示す状態(赤背景)の上、競合で潰されている状態(赤文字)です。
この状態だと、AEを導入するメリットがほとんど消失しています。
全部見ると大変なので、ここではVaultスーツ(ARMO:0001EED7
)を見ることにします。尚、横に長くなりすぎる為にAWKCRは非表示にしています。
実際はAWKCR>AE>BISの順で上書きしていますが、AEはAWKCR前提で作られているMODなので、AEによるAWKCRのレコード変更は信頼することにします。
AEが装備スロットの開放(塞がなくても支障の無い部位)と、Keywordの追加(Ballistic Weave対応等)をしてますが、BISによって全てバニラに戻されています。
ズバリ、タグだけ付いたバニラのVaultスーツです。AEが全く機能してません。
Better Item Sorting(STRINGS版)との競合状態
今度はSTRINGS版の競合を確認します。日本語版はこの形式だと思います。esp版とちょっと構造が違うので、まずそこから。
STRINGS版の構造
STRINGS版だと、Fallout4.esmの時点で既に変更済となります。
esp版のようにオブジェクトのレコードを全て書き換える必要が無く、名前だけを変更することができます。espの数の節約にもなり、メリットが多いです。
反面、ロードオーダーは最弱になります。ですがこれは、名称変更の為だけに他のプラグインによる変更を潰さないという観点からは、むしろ安全と言えるでしょう。
デメリットは、他に大きなSTRINGS変更MODを併用する場合(Full Dialogue Interfaceとか)、互換性を取るのにひと手間かかることと、ことによっては競合を見逃す可能性があります。
競合の確認
同様に見ていきます。今度は1枠空きができたので、AWKCRを表示しています。
先程と違ってBISのespで上書きされていない為、今度はAEが競合Winnerです。よってAEの機能が阻害されることはありませんが、BISのタグが潰れてバニラの名前に戻ります。 ロードオーダー最弱な為、AWKCRの時点で名前が書き戻されています。
STRINGS版の場合、注意しないと競合を見逃す可能性があります。
FO4Editが競合による警告として赤文字を出してくれるのは、1度変更したレコードが別のプラグインによって二重に変更された時に限ります。
この例では二重に変更されたレコードが1つも無いので、 FO4Editは赤文字警告を出してくれません。
STRINGS版だと、「名前を"タグ付き"にする」というレコード変更がFallout4.esmの時点で完了している為、他のプラグインで名前をバニラに書き戻されても赤文字警告は出てきません(1度目の変更になる為)。つまりSTRINGS版を使っている場合は、背景黄色になった時点でBISのタグが潰されています。
互換パッチの作成
競合状態がわかったところで、実際にパッチを作ります。今回のは非常に簡単です。
パッチ作成の方針
BISは「名前をタグ付きに変更する」ことだけが本来の目的なので、
- NameのレコードはBISのタグ付きを使用
- それ以外はAEのレコードをそのままコピー
これだけです。量が多いですが、作業内容そのものは単純です。ここではVaultスーツだけ修正します。
AEのレコードをCopy as override intoして、そこにBISのNameだけコピーしました。
これだけです。仕組みがわかれば単純なものです。
STRINGS版も同じです。過程が異なるだけで、どちらも最終レコードは一緒になります。
補足注意
"Name"は1個だけとは限らないです。Mining Helmetのように色違いのオルタネートがある場合、Object Templateにも設定されてます。
他にも見落としがあった時は、ゲーム遊びながら直していけばいいと思います。セーブデータ的には問題有りません。
BISのタグを潰すことなく、Ballistic Weaveの追加も可能になりました!
クラフトでBISのタグが中に入り込んでしまう現象の対策も、別途適用済(こちらも英語版での作業です)。
以上で終了です。作業対象が非常に多いので手間はかかりますが、実質名前だけ書き換える作業だけなので、気長にやっていけば完成します(リリースしてくれる作者さんのことを考えれば、面倒くさいとは言えない筈!)。