使い方次第ではとっても便利な、esl(Elder Scrolls Light master)ファイルのお話です。
eslは、『公式マージシステム』と呼んでも差し支えない構造をしてます。うまく使えば、単一espへのマージよりも管理し易く、かつプラグイン数も節約できるという便利環境が作れます。
構造概要と、Fallout4での変換の手順をまとめておきます。
eslの基本構造
ここでは概要だけで。詳細はSkyrimブログの方を参照してください。結構詳しく書いたつもり。skmod.hatenablog.com
eslの主な特徴
- 小規模MODに限定(Form総数2048個以内)
- 管理上のロードオーダーは、esmの直後(esp後方には配置不可)
- ゲーム上のロードオーダーは、全てのeslがFE固定
- 最大4096個のeslをロード可能(Form総数次第で減少)
- マスター指定不可
- esmやesp同様、ba2のロードが可能
- CKでespから変換可能
- CKでeslをeditすることは不可能(espをeditしてから再変換)
ロードオーダーFE固定で、ロードされた全てのeslがFE領域にマージされます。
但し、マスターファイルの上書き優先度はFE(最強)にならず、esm直後のままです。つまり上書き競合に関しては非常に立場が弱く、どんなespにも潰されます。
また、大量にロードできる代償として、使えるForm IDが大幅に制限されてます。2048個って結構な規模だとは思いますが、超えてるMODも有ります。例えばThe Eyes Of Beautyとか約2300なので、削らないとesl化できないです。
eslの8桁構造
以下のようになってます。
FE_xxx_yyy
FE:ロードオーダー(FE
固定)
xxx:esl用ロードオーダー(000~FFF
4096個)
yyy:利用可能なForm ID(800~FFF
2048個)
esl化可能なMODの条件
便利な反面、esl化には多くの条件があります。以下のことに注意すれば大丈夫だと思いますが、抜け落ちあるかもです。最終的には自己責任にて。
espファイルであること
esmをesl化することはできません。
他のespからマスター指定されていないこと
espはeslをマスター指定できません。仮にできても、該当espのロードオーダーがFFになるのでアウト(FF領域はゲーム内生成オブジェクトが使う)。
他のespをマスター指定していないこと
espよりロードオーダーが前方なので、eslがespをマスター指定できません。
Form総数が2048個以下であること
構造上の制約。これ以上あるとesl化できません。
Form IDを動かしても問題無いこと
上書きレコード以外(つまり新規オブジェクト)のForm IDを、xx000800~xx000FFF
に納める必要があります。範囲外のForm IDは使えません。
eslは上位5桁がロードオーダーな為、Form IDに使えるのは下3桁のみで、かつ000~7FF
は使用禁止です。
競合が無いこと
必須条件ではないですが、問題になる可能性有り。マスターファイルの上書きレコードがある場合限定(FE領域に展開する800~FFF
のオブジェクトには、競合要素が無い)。
上書きレコードの優先順位はespより低いので(FE扱いされず、本来の配置である『esm直後』というポジション故)、競合すると全てespに潰されます。esl同士で競合起きても面倒です。
いずれも互換パッチでカバーできるなら問題無いですが、eslの為に新規で互換パッチ作るのは、本末転倒だと思います(espのまま競合潰してマージした方がいいのでは)。
eslの動作環境条件
eslはFExxxxxx
領域にマージして使う為、ロードオーダーFEまで埋めてた環境では正しく動作しません。
どれだけMOD数が多くても、FEだけは空けてください。
CKを使ったespのesl変換手順
実際に変換してみます。
条件を満たしたMODなら、CKからesl変換が可能です。例としてTHPosesをesl化します。新規ポーズをコンソールから再生できるMODです。
Descriptionには46個となってますが、実際には57個のアニメーションが入ってますね(ちゃんと動きます)。同作者さんのリリースしてるMOD用とか?
変換前のespを確認
※変換前のespのバックアップを取ってください。変換過程で書き換わります。
まずFile Headerをチェック。数、マスター指定ともに問題無し。
続いて中身。新規作成されたアニメーション用のオブジェクトなので、競合有りません。けれどもForm IDが規定範囲(xx000800~xx000FFF
)を超えてます。
espのForm IDを規定範囲内に縮小
範囲内に納めます。CKで自動で縮小可能です。
File > Compact Active File Form IDs を実行。
最大でFFFに納まってれば成功です。
FO4Editで確認。SSは一部ですが、いずれも規定範囲内に納まってます。
この方法は簡単な反面、任意でForm IDを指定できません。バージョンアップ等で元のespが変更されると、再変換時にForm IDが変わる可能性があります。Form IDの変動は、セーブデータからのオブジェクト消滅に繋がります。困る場合は、FO4Editでマニュアル修正してください。
espをeslに変換
変換準備が出来たので、eslを出力します。
File > Convert Active File To Light Master を実行。
エラーが出なければ成功です。
変換したeslの確認
FO4EditでTHPoses.eslだけ読み込み。最新版であれば、ロードオーダーFE_000
で表示されます。
もう1つeslを読み込んだら、それはFE_001
になります。最大はFE_FFF
なので、4096個のロードが可能。
ゲーム上ではFEにマージされますが、管理上ではesmとespの間になります。なのでArmorsmith Extendedを一緒にロードすると、AWKCRとAEの間に挟まれます。繰り返しますが、上書きパッチ要素はこのロードオーダーになるので注意(espより弱い)。
esl化したTHPosesの実機確認
ゲームを起動して実機確認。ちゃんとモンスがカメラポーズしてます。平気そうですね。
どんなMODがesl化しやすい?
今の例のような、
- 小規模追加
- バニラの変更要素が無い
- 前提MODが無い
- 他のMODから前提MODにされない
こんなタイプが変換しやすいです。
例えばNPCやセル変更をしないアイテム追加系MOD(Workbenchで作るだけ、コンソール入手のみ)や、assetをロードするだけにespを使ってるMODなんか最適です。
Vivid Fallout - All in Oneとか。テクスチャのロードのみに使ってる為、Headerしか無いです。
eslによる上書きパッチ
前述の通り上書きパッチとしては機能しにくいですが、例えばGame Setting系は使えなくも無いと思います。NPCの索敵範囲変更だとか、Workbenchのブラー撤去とか。
こういう設定は、MODに左右されず自分の好みに合わせて固定したいですよね。他のMODで上書きされた場合は、そちらを削除する方向で。素敵な設定だったら、上書き側を新規採用しても大丈夫です。
eslでのゲーム設定。Game Settingだけでなく、Encounter ZoneやCombat Style等も変更してます。
例えばeslでスリ設定100にしましたが、espと競合したら絶対に勝てません。
正直、espでロードオーダー後方に置いた方が楽だとは思いますが・・・(汗)
やはり競合の無いespの方が向いてますね。
以上、おしまいです!